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名古屋高等裁判所 平成10年(行コ)1号 判決 1998年7月15日

愛知県豊田市土橋町四丁目九番地

控訴人

三協高分子株式会社

右代表者代表取締役

兵藤登三

右訴訟代理人弁護士

大矢和徳

愛知県豊田市常盤町一丁目一〇五番地三

被控訴人

豊田税務署長 田家昭次

右指定代理人

河瀬由美子

堀悟

神田増男

佐藤信吉

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2(一)  岡崎税務署長が、平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度の法人税の更正のうち原判決別表1の「修正申告」欄記載の金額を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。

(二)  岡崎税務署長が、平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度の法人税の更正のうち原判決別表2の「修正申告」欄記載の金額を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。

(三)  岡崎税務署長が、平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度の法人臨時特別税の更正のうち原判決別表3の「修正申告」欄記載の金額を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二事案の概要

争いがない事実、本案前の主張及び本案の主張は、次のとおり付加するほか、原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

(控訴人の当審主張)

原審の判断に従うと、控訴人のアフターコスト(売却イコール保管している金型に係わる契約上確定している金型の保管費、補修費及び金型の返還に要する費用)は、会計処理上表現を許されない、すなわち帳簿に表現されない簿外債務になってしまうから、原審の判断は誤りである。

第三証拠関係

原審における証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

当裁判所も、被控訴人の本件訴え中、岡崎税務署長が平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度の法人税の重加算税賦課決定のうち、金三一〇万円を超える部分を取り消すとの請求に係る部分、岡崎税務署長が平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度の法人税の重加算税賦課決定のうち、金一〇九万二〇〇〇円を超える部分を取り消すとの請求に係る部分及び岡崎税務署長が平成四年一二月二五日付けでした、控訴人の平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度の法人臨時特別税の重加算税賦課決定のうち、金二万七〇〇〇円を超える部分を取り消すとの請求に係る部分は却下し、その余の請求はいずれも棄却すべきものであると判断するが、その理由は、次のとおり付加するほか、原判決「事実及び理由」の「第三 当裁判所の判断」欄に認定・説示のとおりであるから、これを引用する。

(控訴人の当審主張に対する判断)

控訴人における金型の売上げによる利益の一部を益金から減算する処理が、税務上、否認されるとしても、控訴人が独自の金型繰延利益経理基準を設けて、これにかかる費用等を帳簿に記帳し、決算をする等の内部的会計処理を行うことを妨げられるものではない。

したがって、原審の判断に従うと簿外債務が発生するという控訴人の主張は、採用することができない。

第五結論

よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 寺本榮一 裁判官 矢澤敬幸 裁判官 内田計一)

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